
専門性を武器に
キャリアを磨き続ける
DX時代に活躍できる
多様性のある人材をサポート
有識者対談
竹内芳久様×高松芳彰次長
長年コンサルタントとして、製造業の現場改革から経営まで幅広く関わってきた竹内様と、日研トータルソーシングで製造業界、特に保全業務やオペレーターの育成やサポートに携わる髙松次長の対談を通して、製造業における現状と課題、そのために必要な人材像、未来に向けた可能性について探ります。
DXに必要な技術が出揃った今、その指揮をとる人材が必要とされている
髙松 昨今、様々な企業が成長戦略として、デジタルトランスフォーメーション(以下、DX※)をあげています。盛んに取り上げられている理由について、竹内様はどのようにお考えでしょうか。
竹内 実はDXの構想自体は数十年前から存在していました。しかしこれまではそれを実現する技術が伴わず、長年「絵に描いた餅」扱いをされてきたのです。そこへ近年、モノと情報をつなぐICT技術や、センサーで集めたビッグデータを取り入れて、自ら判断を下すAI技術が急速に発展してきた。これらの技術を使えば、長年の構想の実現も夢ではない、さぁ実現しよう。そんな状況になってきたのです。
髙松 しかし、いざ「現場を変えるぞ」「ビジネスの仕組みを見直すぞ」と意気込むものの、その実現に当たって指揮を執る人材がいないという悩みを、大企業でも中小企業でもよく耳にします。なぜでしょうか?
竹内 DXは、情報系技術を用いて、現場を変えるようなダイナミックな改革をしようという取り組みです。しかしこれまでものづくり企業において情報系技術は、あくまで補助的な役割でした。生産や調達と比べて費用対効果が証明しにくいので、投資も後回しになりがち。結果、社内の情報系技術者は少数精鋭で、既存システムの保守を行うことがメインの仕事になり、生産現場を変えるほどのダイナミックな改革をする時間も発想も持つ余裕がない、そんな状態になってしまっているのです。
※DX…デジタル技術によって人々の生活が圧倒的に便利になったり、既存のビジネス構造を破壊したりするなどの大きな変化が起きること。製造業においてはAIやロボットなどの技術を活用して工場の自動化や効率化を図る「スマートファクトリー」の構想が進められている。

企業の悩みを解決し、働く人の安定も叶える日研トータルソーシング の設備保全スタッフ
髙松 DXに関わる情報系人材の不足と、当社が強みとする「設備保全スタッフ」の派遣には似たところがあると感じました。設備保全スタッフも、各企業が担当社員を必要最低限に抑え、育成に注力できなかった結果、いざという時に対応するスタッフが足りないという悩みを抱えるケースが少なくありません。当社はそこに着目し、15年ほど前からこうした設備保全スタッフの育成に取り組みました。育成にかかる時間や労力を代わりに担い、お客様がお困りの際には必要な技術者をすぐに派遣できる仕組みを整えています。
竹内 確かに、「保全さん」というのはニーズの割に人数が少なく、昔から不況時でも職に困らないという話をよく聞きましたね。
髙松 おっしゃる通り、昨年からのコロナ禍においても、保全スタッフへの影響は限定的でした。実は、当社が設備保全スタッフの育成に注力した背景には、「一時的」「補助的な役割」といったイメージを持たれている「派遣」という働き方をもっと安心して長く働けるものに変えたい、という思いがありました。現在も自社研修施設でスタッフを一から教育してそれぞれの職場で就業していただくとともに、定期的な面談を繰り返して教育機会や情報を提供し、長期的なキャリアアップをサポートしています。
竹内 なるほど。私はアメリカでの勤務経験がありますが、アメリカでは自らの技術を糧に様々な企業を渡り歩く技術者がたくさんいました。そもそも労働組合も会社ではなく職種ごとですし、「専門性を磨き、それを買ってくれる企業で働く」という考え方が主流。日研トータルソーシング様の設備保全スタッフは、そんな働き方にも似ていますね。

専門性を武器にキャリアを築く、「新しい働き方」を日研から
髙松 竹内様は、今後の製造業界についてはどう思われますか?
竹内 DXは、ブームを超えて「当たり前」のものになっていくでしょう。かつてインターネットが普及し始めた頃には「工場にインターネット回線を引く必要なはない」と言う人もいましたが、今はそんな人もういません。情報技術を取り入れたものづくりも、きっとそれくらい一般的なことになっていくはずです。
髙松 実はDXに関して、一つ期待していることがあります。それは当社で育成・派遣している設備保全スタッフが様々な企業で経験を積み、5年後〜10年後にDX人材として活躍することです。保全には情報系、電気系、機械系と幅広い知識が必要です。設備保全スタッフとしてのニーズに応えつつ、たくさんの経験を積んだ技術者の中から、自分の適性を発見しDXに関わる様々な職種にキャリアアップしていく人が必ず出るはず。そんな風になっていったら素晴らしいと思うのです。
竹内 確かにその可能性は充分にあると思います。さらに今後、「働き方」についても変化があるはずです。年功序列や終身雇用はもう当たり前ではありませんから、より良い条件を求めて「専門性を武器に様々な企業で自分のキャリアを積んでいく」という働き方が主流になっていくでしょう。そう考えると、派遣社員として専門性を高めるキャリアのあり方は、「新しい働き方」を先取りしているとも言えますよね。
髙松 ありがとうございます!今後も多様なキャリアや働き方が広がるようなサポートを続けていきたいと思います。
竹内 これからの企業は、性別、年齢、経歴等に関わらず、様々な人が持てる力を出し合い、課題を解決する場でなければならない。今よりももっと「多様性」を受け入れる姿勢が必要です。多様なバックグラウンドを持つ人材を先陣切って受け入れ、活かしていく存在としても、日研トータルソーシング様には期待しています。
髙松 本日のお話を受けて、働く人のために、お客様のために、そして製造業全体のために当社がどう貢献していくべきか方向性を再確認することができました。今後も社会に必要とされる人材を育て、フォローしていきたいと思います。本日はありがとうございました!

竹内 芳久さん
オペレーショナルエクセレンス研究所 代表
日産自動車、米国HONEYWELL、ジャパンインダストリアルリレーションズにて現場改
革、経営改善に取り組む。その後コンサルタントとして多数の企業でコンサルティン
グ、研修、講演を担当。『スマート工場の仕組み』(2018)『マニュファクチャー
2030- 未来の製造業-』(2019)など編著書多数。

髙松 芳彰さん
日研トータルソーシング 保全事業部 次長
2000年日研トータルソーシング入社。現在は保全管理チーム次長として、設備保全スタッフの派遣後のフォロー、企業との折衝に取り組む。賃金体系やキャリアアップ制度の構築等、保全スタッフが今よりもモチベーション高く就業できるための環境づくりを目指す。
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