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派遣禁止業務(適用除外業務)の適用業種とその理由・罰則

2021/02/15

派遣は、企業の求める人材を必要な期間に限定して確保できるというメリットがあり、労働者の側の多様な働き方を求めるニーズにマッチしていることからも、広く活用されています。しかし、派遣制度には適用除外業務があり、労働者派遣が禁止されている業務も存在します。

こちらでは、派遣の適用除外業務や禁止されている理由について解説していきます。

派遣が禁止されている「適用除外業務」とは

派遣労働者はさまざまな業種・業態で活躍していますが、どんな業務においても、派遣会社に依頼すれば活用できるという制度ではありません。

労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)では、労働者派遣を行えない適用除外業務が定められています。

派遣禁止業務が指定された背景

労働者派遣法は、それまで「業務請負」として類似する形態で行われていた状態から、労働者を保護し適切に運用することを目的として、1986年に制定されました。

労働者派遣法が制定された当初は、労働者派遣を行えるのは専門的な13業務に限定されていました。その後の改正で適用対象業務が16業務、26業務に拡大されていくと、ほかの業務と比較して必ずしも専門的な業務とはいえない状況となっていました。

そこで、1999年の改正では、これまで労働者派遣の適用対象業務を限定していた形から一転して、原則として自由化され、反対に適用除外業務を指定する形となったのです。

適用除外業務の一覧

労働者派遣法や施行令などによって、適用除外業務とされているのは以下の5つの業務です。

  • ▪ 港湾運送業務
  • ▪ 建設業務
  • ▪ 警備業務
  • ▪ 病院・診療所などにおける医療関連業務
  • ▪ 弁護士や公認会計士などの士業

ただし、ここに挙げた業務のすべてが適用除外業務にあたるわけではなく、業務の種類ごとに適用除外業務が決められています。たとえば、港湾運送業務で適用除外業務にあたるのは主に積み下ろしに関連する業務であり、建設業務では建設土木現場での作業が該当する一方で、派遣労働者を活用できる業務もあります。

派遣禁止業務の種類と理由

労働者派遣が禁止されている適用除外業務のうち、ここでは「建設」と「警備」、「港湾」を取り上げ、適用除外業務を具体的に挙げるとともに、禁止されている理由についても触れていきます。

建設業における適用除外業務

建設業において適用除外業務となるのは、建設土木工事現場での作業を担う業務で、職人や技能職と呼ばれる仕事です。

具体的には、建設工事の現場での資材の運搬や組立て、コンクリートの合成、建材の加工、壁や天井、床の塗装、配電や配管、機器の設置、建具の固定や撤去、建築物の解体といった業務が該当します。また、大型仮設テントや大型仮設舞台、仮設住宅の組立ても該当します。このほかに、現場の清掃や車両出入りの管理や誘導といった業務も適用除外業務です。

一方で、施工管理業務及びCDAオペレーターは適用除外業務には該当しないため、労働者派遣を行うことができます。

■ 派遣禁止業務の理由

建設業において派遣が禁止されているのは、建設工事は重層下請構造が常態化していることから、雇用主と指揮命令を行う者を統一して、労働者を保護するためです。

建設工事は、元請にあたる建設会社が、基礎工事や足場工事、大工工事となどの工事ごとに一次下請となる専門工事会社に委託し、さらに二次下請に、三次下請に委託されていく、重層下請構造で成り立っているのが一般的です。

派遣という形態では、雇用主の派遣元企業(派遣会社)とは別の派遣先企業の指揮命令下で派遣労働者が働くことになります。そこで、複数の企業が介在する建設業では、指揮命令系統や責任の所在が曖昧になってしまいやすいことが危惧され、それにより労働災害が起きるのを防ぐという観点からも、労働者派遣が禁止されているのです。

また、建設労働者の実態に即した労働力需給調整の制度として、建設業務労働者就業機会確保事業制度が設けられていることも、建設業が労働者派遣の適用除外業務となっている理由です。

警備業における適用除外業務

警備業において労働者派遣の適用除外業務となるのは、オフィスや住宅、駐車場、遊園地、イベント会場といった施設で事故の発生を防ぐため、監視や警備を行う業務です。

また、適用除外業務には該当しない販売業務や受付業務、駐車場管理業務としての労働者派遣であっても、業務内容によっては、警備業務とみなされる可能性がある点に注意が必要です。たとえば、混雑時に客にレジ前に整列するよう依頼する、徘徊している不審者に声をかける、車両を誘導するといった行為を繰り返し行うことが該当します。

■ 派遣禁止業務の理由

警備業は警備業法によって請負形態で業務を行うことが決められています。労働者派遣を認めると法律にもとづいて業務を適切に処理することが難しくなるため、適用除外業務になっているのです。

また、警備は命に関わる事態が発生するリスクがあり、労働者の安全性の面でも問題があります。直接雇用以外の労働者が警備を担当することによる依頼主への信頼性の面からも、派遣という形態はそぐわないことも禁止されている理由です。

港湾業における適用除外業務

労働者派遣の適用除外業務となる港湾業務は、東京・横浜・名古屋・大阪・神戸・関門の6大港湾と指定港湾における貨物の運送や保管、荷役、鑑定、計量、荷さばき、清掃といった主に積卸しに関わる業務です。機械による業務と人力による業務を問わず、いずれも労働者派遣が禁止されています。
具体的には、湾岸や船舶での業務では、船舶への貨物を積み込みや荷下ろし、荷づくりや荷ほどき、船舶に積まれた貨物の移動や固定、船舶に積んだ貨物の梱包が該当します。また、船舶から下ろした貨物の港湾内倉庫への輸送、港湾内倉庫での貨物の荷ほどきや仕分けのほか、トラックの積み下ろし、船舶や湾岸での清掃業務も含まれます。

一方、港湾業における事務業務は労働者派遣が認められています。

■ 派遣禁止業務の理由

港湾業務は、繁忙期と閑散期の差が大きいという特徴があり、ピンハネによる低賃金労働が問題視されていました。そこで、港湾労働者の実情を踏まえた雇用の安定を図る労働力需給調整制度として、港湾労働者派遣制度が労働者派遣法の制定以前から設けられていました。そのため、労働者派遣法にもとづいた労働者派遣は禁止されています。

派遣禁止業務に従事させた場合の罰則

労働者派遣が禁止されている適用除外業務に従事する労働者派遣を行った場合、派遣元企業は、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」という罰則の対象になります。さらに派遣元企業は、労働局から労働者派遣の事業停止命令などの行政処分が下されます。

また、派遣先企業に対しては、違法な派遣就業を是正して適正な派遣就業が行われるために必要な措置をとることが勧告され、従わないと企業名が公表される点にも注意が必要です。さらに、派遣先企業はこうした違法派遣を受け入れた時点で、派遣元企業と同じ条件で派遣労働者に労働契約の申し込みをしたものとみなされ、派遣労働者が承諾をすると、直接雇用をすることになります。

派遣先企業も、派遣が禁止されている業務を「知らなかった」では済まされないのです。

まとめ

派遣は企業側にも労働者側にもメリットがある雇用形態ですが、適用除外業務が決められています。5つの適用除外業務の中でも、特に警備業務は製造業を含む幅広い業種にて、知らず知らずのうちに法令違反を犯してしまうリスクがあります。派遣労働者の活用にあたっては法令違反とならないように、禁止業務を理解しておきましょう。

  • 監修:細原 敏之(ほそはら としゆき)
    高分子材料を利用した自動車電装部品の設計、製造、生産技術(設備設計、レイアウト検討)及び品質保証業務などを歴任し、トヨタ自動車関連のティア1サプライヤーであるデンソー、アイシン精機及び三菱電機株などを主要顧客とした業務の責任者を担当。その後、タイ・バンコックでの工場建設の代表取締役、発電所などの金属ガスケットやシール材などの開発・マーケティング担当を経て独立。工場の品質管理、生産管理及び労務管理の業務や、ISO審査員及び経営コンサルティング業務を開始し、現在に至る。
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