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派遣元責任者とは?要件・目的と講習の概要~製造専門派遣元責任者との違い

2021/03/05

労働者派遣法では、労働者派遣事業者に対して、派遣元責任者を選任することが義務付けられています。また、製造業務への派遣においては、製造専門派遣元責任者の選任が義務付けられているという特徴もあります。

こちらでは、派遣元責任者の要件と派遣元責任者講習について、さらに製造専門派遣元責任者との違いについても取り上げていきます。

派遣元責任者とは

派遣元責任者とは、労働者派遣事業者(いわゆる派遣会社)に選任された、派遣労働者の適切な雇用管理や保護を担う人をいいます。これは労働者派遣法で定められたもので、派遣労働者100人に対して1人以上の派遣元責任者を選任することが義務付けられています。

派遣元責任者の要件

派遣元責任者には、選任にあたっての要件があります。

  • <派遣元責任者の主な要件>
  • 一定の雇用管理などの経験を持っている。
  • 派遣元責任者講習を受講して3年以内である。
  • 未成年者以外で、労働者派遣法に定められた欠格要件に該当しない。
  • 住所が定まっている。
  • 適正な雇用管理を行える健康状態にある。
  • 外国人の場合は在留資格を有している。

このうち特に重要なのは、一定の雇用管理などの経験、そして派遣元責任者講習の受講です。

一定の雇用管理などの経験として認められるのは、成年になって以降の以下の経験です。

  • ▪ 人事や労務担当者のほか、事業主や役員、工場長、支店長、あるいは労働者派遣事業の派遣労働者や登録者の労務担当者としての3年以上の経験
  • ▪ 職業安定行政または労働基準行政の3年以上の経験
  • ▪ 民営職業紹介事業の従事者の3年以上の経験
  • ▪ 労働者供給事業の従事者の3年以上の経験

なお、派遣元責任者は自社の役員や従業員の中から選任することが義務付けられていて、他社の派遣元責任者と兼任することはできません。さらに、派遣元責任者は派遣労働者にはなれない点にも注意が必要です。

派遣元責任者の職務

派遣元責任者の職務には、次の項目が該当します。

▪ 派遣労働者であることの明示
派遣労働者として雇入れを行うことを雇用契約書などで明示することが義務付けられています。紹介予定派遣の場合は、紹介予定派遣であることを明示します。

▪ 就業条件などの明示
派遣労働者に対して、就業条件と派遣受入期間の制限に抵触することになる最初の日を通知します。

▪ 派遣先への通知
派遣先企業に対して、派遣労働者に関する氏名や性別、年齢に関する事柄などの情報を通知します。

▪ 派遣先および派遣労働者に対する派遣停止の通知
派遣受入期間の制限に抵触する場合は、1ヶ月前から前日までの間に、派遣先企業と派遣労働者に対して、労働者派遣を行わないことの通知が必要です。

▪ 派遣元管理台帳の作成、記録、保存
派遣元管理台帳とは、派遣労働者の氏名や派遣先の名称、派遣期間や就業時間など、法令で定められた事項を記録しておくための台帳です。なお、派遣管理台帳は、派遣を終了した日から3年間保管しておくことが義務付けられています。

▪ 派遣労働者に対する必要な助言や指導実施
派遣労働者に助言や指導を行う内容として、例えば、労働者派遣事業制度や労働者派遣契約の趣旨や内容、派遣会社や派遣先企業が講じるべき措置などに関することが挙げられます。あるいは、労働者派遣法改正があった際には、改正点について説明会や文書の配布などによって周知を行うことが求められます。

▪ 派遣労働者からの苦情の処理
派遣労働者から労働環境や労働条件などに関して苦情を受けた際には、派遣先企業に通知を行うなど、適切な処理を行うことが必要です。

▪ 派遣先との連絡・調整
派遣就業に関して問題が生じた際に、派遣先企業との調整を行います。

▪ 派遣労働者の個人情報の管理
派遣労働者の個人情報が正確で最新のものとなるように管理を行うとともに、不要な個人情報を破棄します。また、派遣労働者の個人情報への不正アクセスが行われないように管理を行います。

▪ 安全衛生に関すること
派遣労働者の安全衛生が確保されるように、連絡や調整を行います。例えば、健康診断や安全衛生教育に関することのほか、労災事故などが発生した際には、対応状況の確認を行うといったことが含まれます。

派遣元責任者講習とは

派遣元責任者講習とは、労働者派遣法による派遣元責任者の選任要件で、受講が義務付けられている講習です。派遣元責任者に選任されるには、派遣元責任者講習を3年以内に受講していることが要件のひとつとなっています。

派遣元責任者講習は1日で行われます。複数の講習機関が実施してますが、講習内容は厚生労働省が決めているため、主催団体による違いはありません。

目的

派遣元責任者講習は、派遣元事業所の雇用管理や事業運営の適正化に役立てることを目的としており、労働者派遣法の趣旨や派遣元責任者の職務、事務手続きなどに関する講習が行われます。

対象

講習の対象となるのは、派遣元責任者に選任されている人や選任される予定の人です。

なお、派遣元責任者には選任要件が設けられていますが、派遣元責任者講習の受講要件はありません。労働者派遣事業に関する知識の習得を図りたい人も受講可能です。

日程と申し込み方法

派遣元責任者講習の申し込みは、直接、各講習機関のホームページから行います。派遣元責任者講習は東京や大阪、名古屋のほか、札幌、仙台、広島、岡山、福岡など各地で実施されており、派遣元事業所の住所地を問わず、いずれの講習機関・会場でも受講可能です。

なお、東京では月に20回~30回前後(同日開催を含む)実施されています。

参考:厚生労働省「派遣元責任者講習の日程及び講習機関等について」

製造専門派遣元責任者とは

製造専門派遣元責任者とは、労働者派遣元事業者が派遣労働者を製造業務に派遣する場合に選任が義務付けられている、専門の派遣元責任者です。

派遣元責任者との違い

ここまで見てきたように、派遣労働者の雇用管理や保護を行うため、労働者派遣事業者が派遣元責任者を選任することは、労働者派遣法で義務付けられています。

これに対して、製造業務では危険な機械を操作したり、有害物質を取り扱ったりすることがあることから、派遣元責任者とは別に、製造業務専門の責任者として専任が義務付けられているのが、製造専門派遣元責任者です。

兼任の可否と条件

製造専門派遣元責任者は、製造業務に従事する派遣労働者100人に対して1人以上選任することが義務付けられています。製造業務に従事する派遣労働者が100人を超えて200人以下の場合は、製造専門派遣元責任者は2人必要となり、以降100人を超えるごとに1人以上を追加していく形です。

ただし、製造業務専門派遣元責任者のうち1人は、派遣元責任者を兼任することが可能です。

  • <必要な製造専門派遣元責任者の人数の例>
  • 事例1:製造業務50人、その他の業務30人のケース
  • 製造専門派遣元責任者1人、派遣元責任者1人
    →ただし1人は兼任可能のため、1人の選任でも可
  • 事例2:製造業務350人、その他の業務140人のケース
  • 製造専門派遣元責任者4人、派遣元責任者2人
    →ただし1人は兼任可能のため、5人の選任でも可

労働者派遣法にもとづいて適切に運用されるよう、派遣先企業と労働者派遣元事業者で確認することが大切です。

まとめ

労働者派遣法では、労働者派遣が適切に運用されるようにさまざまな規定が設けられています。派遣元責任者や製造専門派遣元責任者の選任も、そうした法律による施策のひとつです。

危険な機械の取り扱いなども発生する製造業務の派遣では、製造専門派遣元責任者の選任が義務付けられています。派遣労働者を製造業務に活用する際には、労働者派遣法にもとづいて適切な運用を行う派遣会社を見極め相談しましょう。

  • 監修:細原 敏之(ほそはら としゆき)
    高分子材料を利用した自動車電装部品の設計、製造、生産技術(設備設計、レイアウト検討)及び品質保証業務などを歴任し、トヨタ自動車関連のティア1サプライヤーであるデンソー、アイシン精機及び三菱電機株などを主要顧客とした業務の責任者を担当。その後、タイ・バンコックでの工場建設の代表取締役、発電所などの金属ガスケットやシール材などの開発・マーケティング担当を経て独立。工場の品質管理、生産管理及び労務管理の業務や、ISO審査員及び経営コンサルティング業務を開始し、現在に至る。
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