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業界トレンド

i-Constructionとは?国土交通省が推進するトップランナー施策「3つの柱」の要領とDXとの違い

i-Constructionとは?国土交通省が推進するトップランナー施策「3つの柱」の要領とDXとの違い

あらゆる業界に波及するICT技術の活用拡大の流れは、建設業界においても例外ではありません。国が推進する「i-Construction」はその代表例であり、ICTの活用を介して建設生産システム全体の生産性向上を目指す取り組みです。

本記事では、国土交通省が主導するi-Constructionの概要や導入効果と注意点、取り組み事例について考察します。

i-Constructionとは
  • i-Constructionとは、国土交通省が主導する、建設事業プロセスすべてにICTを導入し、生産性向上を目指す取り組みのこと
  • 「ICTの全面的な活用(ICT土工)」「全体最適の導入(コンクリート工の規格の標準化等)」「施工時期の平準化」を3つの柱とする

i-Constructionとは

i-Construction(読み方:アイ・コンストラクション)は、測量や設計、施工、検査、さらには維持管理に至るまで、建設における事業プロセス全体に対し縦断的にICTを導入し、生産性向上を目指す取り組みです。

国土交通省が掲げる20の生産性革命プロジェクトのひとつにも名を連ねており、建設業界で大きく注目されています。

なお、この「生産性革命プロジェクト」は、国土交通省が2016年から取り組んでいる施策です。

建設関連においてはSociety 5.0の実現やスマートシティの推進に向け、インフラの整備・管理・機能や産業の高度化を目指し、ICTなどの新技術やデータ活用を進めるよう企業にはたらきかけています。

 

 

同プロジェクトでは、i-Constructionの推進をひとつの取り掛かりとし、2025年までに建設現場の生産性を2割程度向上(※2015年度比)する方向性を示しています。

i-ConstructionとICT施工の違い

i-ConstructionとICT施工の違い

i-Construction と混同されがちな言葉に、「ICT施工」があります。

ICT施工とは、「ICT技術を活用して施工すること」を意味する、主に民間企業で用いられている用語です。国土交通省をはじめとする行政においては、ICT施工ではなく「情報化施工」と呼ばれる概念でもあります。

i-Constructionが「生産性革命プロジェクトにおける施策のひとつ」であるのに対し、ICT施工はその施策を実現するための手段と言い換えられる関係性です。

i-ConstructionとDXの違い

i-ConstructionとDXの違い

DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは、企業がデジタル技術を利活用し、業務プロセス単位にとどまらずビジネスモデルそのものの変革を経て企業文化や風土をアップデートし、競争優位性を確立するソリューションと解釈できる概念です。

DXは経済産業省やデジタル庁が最注力する分野です。いまでは規模を問わず多くの企業が取り組んでいます。

 

 

一方、i-Constructionは建設関連業務のプロセス全体にICTを導入し生産性の向上を目指す取り組みであり、ビジネスモデルや企業文化などの変革までを念頭に置いたDXとは、そもそもの立ち位置が異なります。

ただし、i-Constructionの取り組みを通じて広範な業務のデジタル化がなされれば、企業ないしは建設業界全体に大きな変革が起こります。つまり、i-ConstructionはDX推進を牽引する取り組みとしても評価できます。

たとえば、計画、調査、設計段階から3 次元モデルを導入する「BIM/CIM」は、i-ConstructionとDX、どちらの領域にも深く関連する取り組みです。BIM/CIMの導入によって、合意形成や意思決定の迅速化、設計変更の容易化、工期の短縮化、さらにはミスの削減や現場の安全確保などが期待されます。

このように、ICTの活用で業務プロセスが大きく変われば、関係者間のコミュニケーションの在り方も変化し、企業風土などの変革を促す呼び水となります。

建設業界におけるi-Constructionの必要性

建設業界では、労働者の高齢化が急速に進行しています。また、いわゆる「3K(きつい・汚い・危険)」のイメージが根強く残っていることもあり、人材を募集しても若年層からのエントリーが集まらないケースも少なくありません。

 

 

将来にわたって労働力人口の減少が見込まれるなか、こうした建設業界が直面する課題を解決するためには、「生産性の向上」と「労働環境の改善」が急務です。

たとえば従来の測量業務では、現地に測量技術者が赴き、機器を目視で確認しながら業務にあたる必要がありました。しかしICT技術を活用すれば、ドローンなどによる3次元測量なども実現します。結果、測量にかかる人員と作業時間が削減されるだけでなく、作業負担の軽減も図れます。

同様に複数の業務にICT技術を導入できれば、あらゆる業務プロセスは効率化され、生産性を向上しながらの労働環境の改善も実現できます。こうした取り組みの中核に位置するのがi-Constructionです。

i-Constructionの推進によって得られる効果

i-Constructionの推進は、次のような効果と密接に紐づきます。

  • 業務効率化による生産性の向上
  • 労働時間の短縮や業務プロセスの刷新による労働環境の改善
  • コスト削減
  • 人材定着率の向上
  • 業界全体のイメージ向上

上述した通り、一連の業務プロセスにICT技術を取り入れることで、まずは生産性の向上や労働環境の改善が見込めます。結果、残業時間の削減や人材定着率の向上がなされ、さらには人件費や採用・雇用にかかるコスト削減などの副次効果にも発展していきます。

また、i-Constructionを推進する企業が増加するにつれて、将来的には建設業界に残る「3K」のネガティブイメージを払拭する効果も期待されるでしょう。

 

 

i-Constructionのトップランナー施策「3つの柱」

i-Constructionのトップランナー施策「3つの柱」

国土交通省は、「i-Construction トップランナー施策」と銘打ち、次の施策を3つの柱として掲げています。

  • ICTの全面的な活用(ICT土工)
  • 全体最適の導入(コンクリート工の規格の標準化等)
  • 施工時期の平準化

このトップランナー施策とは、改善の余地が大きく、いち早く着手できる業務にICTを導入し、大きな効果を迅速に獲得できるよう位置づけられているものです。施策それぞれの詳細を確認していきます。

ICTの全面的な活用(ICT土工)

調査・測量や設計、施工、検査など、建設生産プロセスにICTを活用する「ICT施工」を推進する施策です。3つの柱のなかでも、もっとも広く、重点的に取り組まれている施策であり、具体的には次のようなアクションが該当します。

  • 調査・測量:ドローンを用いて測量した3次元測量点群データと設計図面の差分から施工量を自動算出する
  • 設計:3DCADを用いて施工計画や完成図をビジュアル化する
  • 施工:三次元設計データをベースに自動制御できるICT建設機械を活用し、施工の高精度化および効率化を図る
  • 検査:ICTの活用で不要な書類作成を見直す、不要な検査項目も削除する

全体最適の導入(コンクリート工の規格の標準化等)

コンクリート工などにおける構造物の設計、発注、材料調達、加工、組み立てなど一連の生産工程および維持管理プロセス全体の最適化を目指す施策です。

このアプローチには部材規格の標準化も含まれており、標準化されたプレキャスト製品やユニット鉄筋などを工場で製作します。建設現場ごとに適応する部材を用意する必要性が省かれ、コスト削減や生産性の向上につながります。

施工時期の平準化

年間の工事量の安定化を図る施策です。

従来の公共工事は、予算編成後の入札契約手続きによってスタートすることから、4月~6月に工事が集中してしまう傾向が顕著に見られており、一時的な人材不足や人的コストの増加を招いていました。

一方、年間を通しての工事量の平準化がなされれば、限られた人材リソースを効率的に配置できるようになります。この施策では、受注者側の企業ではなく、発注側の業務方法の改善が強く求められるでしょう。

i-Construction推進の課題と注意点

i-Construction推進の課題と注意点

建設生産プロセス全体の生産性向上が期待されるi-Constructionですが、ミクロの視点では課題も散見されます。企業側が推進するうえで、以下のような項目が注意点として挙げられるでしょう。

  • 投資が必要になる
  • ICT建設機械などに関するスキルが求められる
  • 投資に対するリターンも含め検討する必要がある

まず、ICT施工の実施には当然ながら目的に応じたICT機器が必要です。建設機械などを新たに導入することにもなるため、投資コストは避けられない課題となるでしょう。

また、運用にあたっては、最新のICT機器や設備を業務に適切に落とし込むためのスキルも重要です。ドローンの飛行契約や撮影、ICT建設機械の操作方法など、新技術に対応するスキルを有する人材を獲得、あるいは育成する必要があります

さらに、投資に対してどの程度のリターンが見込めるか、事前検討も欠かせません。i-Constructionの推進で得られる効果や、どの程度の期間で投資額の回収に至るのかなど、綿密に試算したうえで実施に踏み切らなくてはいけません。

i-Constructionの取り組み事例

国土交通省では、i-Constructionの推進にあたりベストプラクティスを横展開すべく、取り組み事例を表彰する「i-Construction 大賞」を創設しています。

i-Constructionの取り組みの成功事例として、「i-Construction大賞」に選ばれた企業から、3社をピックアップして紹介します。

事例①消波ブロックの据付作業に自動追尾型リアルタイム3Dソナーを活用

株式会社本間組東北支店は、ICTを活用した効率的な水中消波ブロック据付工事を実施し、「i-Construction大賞」優秀賞を受賞しています。

同社は、自動追尾型リアルタイム3Dソナーと設計3Dモデル、遠隔吊荷制御装置を活用し、安全性を確保しながら精度の高い施工管理を実現。降雨による河川からの濁りや漂流物の影響を受けやすい施工場所ながら、作業不能日を低減し、工程の遅延なく工事を完了しています。

自動追尾型リアルタイム3Dソナーは、水の透明度に左右されることなく水中の状況を可視化できます。また、自動追尾機能により手動操作によるヒューマンエラーの防止も実現されました。

施工による効果
  • 突発的な気象災害があっても施工できる環境で工程管理の安定化
  • 透視度10センチ以下の環境でも通常時と同様の作業効率を維持
  • 水中作業39日間のうち、約25%を3Dソナーで施工
  • 設計3Dモデルの合成により据付精度を維持

事例②高精度野外ARシステムで作業員の削減と施工量向上を実現

真柄建設株式会社は、地盤改良工事にICTを活用し、優秀賞を受賞しました。

この工事では、現実空間と設計データを高精度にマッチングするため、高精度野外ARシステムを使用しています。また、ICT建設機械を用いて、施工履歴データを機械内および外部モニタに同期表示して、現場事務所内で施工状況をリアルタイムに管理するなどの取り組みも行っています。

これにより、従来必要であった測量や作業にかかる人員を削減できただけでなく、施工量の向上、管理作業の負担軽減を実現しています。

施工による効果
  • 作業員の削減
  • 同工法・同機種による従来施工との比較で平均日施工量が12.5%アップ
  • 出来形管理帳票の自動作成、不可視写真管理枚数の減少など、書類管理業務の大幅な省力化に成功

事例③CIMモデルの活用で管理業務を大幅に効率化

東亜建設工業株式会社四国支店は、老朽化した桟橋式岸壁の一部撤去および上部工の新設や鋼管杭の重防食を施す工事において、CIM(Construction Information Modeling/Management)モデルやCIM 3D CADなどを活用し、優秀賞を受賞しました。

この工事では、工種数が多いために施工管理にかかる負担が大きくなってしまう懸念がありました。たとえば、施工にあたり課題が発生し検討が必要な場合には、関係者が集まり各々が膨大なデータを持ち寄って検討しなければなりません。

そこで同社は、CIMモデルを活用して作業ステップや細分化したパーツごとに全職員が管理データを一元的に閲覧・活用できる「施工管理情報プラットフォーム」を構築。これにより、書類作成時間や検討時間を削減し、管理業務全般の効率化を実現しています。

また、CIMとWebカメラの活用により高度な作業員教育を実施するなど、安全管理業務の高度化と効率化も果たしています。

施工による効果
  • CIMモデルの活用により書類作成時間や検討時間を20~30%削減
  • CIM 3D CADを用いた安全教育により、教育用の書類を50%削減
  • 安全教育にかかる移動時間を40時間削減

まとめ

i-Constructionの推進により、生産性の向上と労働環境の改善がなされれば、建設業界は大きく変革されます。喫緊の課題である人手不足の解消に寄与するほか、コスト削減による利益率の向上や、企業イメージ、ひいては業界全体のイメージ向上といった効果も期待できるでしょう。

企業にとっては、i-Construction導入のための費用確保やICT施工に対応できる人員の確保などは待ったなしの状況です。国土交通省が取りまとめる成功事例なども参照し、事業変革に備えましょう。

この記事を書いた人

Nikken→Tsunagu編集部

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