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業界トレンド - 半導体

パワー半導体とは?国内メーカーの世界シェアと市場の将来性

パワー半導体とは?国内メーカーの世界シェアと市場の将来性

半導体を用いたデバイスというと、CPUやメモリなどの集積回路がまずイメージされますが、パワー半導体は、その果たす役割に大きな違いがあります。パワー半導体は、スマートフォンやパソコンのみならず、エアコンや自動車、産業機器といった幅広い用途にて活用されており、今後さらなる市場規模の拡大が見込まれているものです。

その将来性の高さから投資銘柄としても注目を集めるパワー半導体とはなにか、特徴や用途のほか、世界市場のシェアや市場規模についても解説していきます。

パワー半導体とは

パワー半導体とは、電力の制御や変換を行う半導体の総称で、パワーデバイスとも呼ばれています。

半導体の中でも、CPUやLSIなどの集積回路は、小さな電力で演算や記憶を行う役割を持っていることから、電子機器の「頭脳」にたとえられています。一方、パワー半導体は小さな電力から大きな電力までを供給することから、たとえるなら「筋肉」にあたるものです。

パワー半導体の特徴

電力の制御や変換を行うパワー半導体は、大きな電圧・電流の電力も取り扱えることが特徴です。パワー半導体には明確な定義はありませんが、一般的には定格電流が1A以上のものとされています。

パワー半導体の代表的なデバイスには、スイッチングを行う「パワートランジスタ」と「サイリスタ」、スイッチングを行わない「ダイオード」があります。

パワー半導体の働き・用途

パワー半導体には次の4つの働きがあり、いずれか1つの働きによって電力を制御し、マイコンやモーターへ供給します。

  • コンバーター
    交流から直流に変換。例えば、家電は直流で作動するため、発電所から流れる交流電圧からの変換が必要になります
  • インバーター
    直流から交流に変換。コンバーターが直流に変換した電流を再度、交流に変換し直します
  • 周波数変換
    交流の周期を変える。特定の周波数でのみ動く機器に用いられます
  • レギュレーター
    直流の電圧を変換する。主にコンバーターの電圧を安定させるために用いられます

こうした働きをもとに、パワー半導体はモーター駆動やバッテリー充電、CPUやLSIなどの半導体駆動などに利用されています。

また、パワー半導体は、スマートフォンやタブレットパソコン、テレビやエアコン、冷蔵庫といった一般家庭向けの機器や、電気自動車や鉄道、太陽光発電や風力発電などに幅広く用いられていますが、主力分野は産業機器となっています。

また、温室効果ガスの26%削減を実現するための道筋として、さまざまな施策が示されています。

ただ、近年では自動車への需要が大きくなっているのも特筆すべき傾向です。自動運転、センシング技術など、半導体が活躍する技術は今後も必要とされるので、需要が大きくなると思われます。世界的に需要が増加しているため半導体の生産が追いつかず、自動車生産が停止するということも発生するほど、半導体の重要度が高くなっています。

パワー半導体のシェアと有力日系メーカー

パワー半導体の世界市場では、ドイツやアメリカの企業を日本のメーカーが追随する構図となっています。

パワー半導体の世界シェア

パワー半導体の世界市場で上位を占めるのは、ドイツのインフォニオンテクノロジーズやアメリカのオンセミコンダクター、スイスのSTマイクロエレクトロニクスといった海外企業です。そこに日本の三菱電機やローム、東芝、ルネサス エレクトロニクス、富士電機といった企業が割って入り、存在感を放っています。

パワー半導体は高度な技術を必要とし、多品種少量生産という特徴からも、参入へのハードルが高い分野です。そのため、半導体全体の市場では上位の韓国のほか、中国企業も容易に台頭できない分野となっています。

ただし中国では、パワー半導体は海外製品への依存度が高い現状にありますが、日中貿易摩擦の影響を受けて、国内生産を強化する動きも見られています。

市場で存在感を放つ国内製造業

国内製造企業も、パワー半導体の世界市場で大きな存在感を放っており、今後の市場規模の拡大を見据えて、中核事業と位置付けて設備投資を行う企業が目立ちます。

三菱電機

三菱電機は日本企業の中では、パワー半導体でトップのシェアを誇っており、2017年に発表した事業戦略において、パワーデバイス事業を成長牽引事業と位置付けています。

産業機器、鉄道車両用インバーターやエレベーターなどの重電システム、家電といったパワー半導体を使用する機器を自社で手掛けていることが強みとなっており、2017年度は1,300億円だったパワーデバイス事業の売上高を、2022年には2,000億円にまで引き上げることを目指しています。

富士電機

富士電機は、自動車や産業機器の分野で使用するパワー半導体を供給しているメーカーです。2019年に発表した「2019~2023年度中期経営計画」で、「パワエレシステム・パワー半導体」を成長戦略の中核に位置付けており、5年間でパワー半導体への1,200億円の設備投資を予定しています。また、2023年度のパワー半導体の売上高の目標を2018年度の57%増の1,750億円としています。

さらに、SiC(炭化ケイ素)パワーデバイス市場では、2025年~2026年に2割のシェア獲得を目標に掲げています。

ローム

ロームはパワー半導体への参入は後発となりますが、SiCパワーデバイスでは先進的な取り組みを行ってきた企業です。SiCパワーデバイス市場で2025年に3割のシェア獲得を目標としています。

供給体制を確保するため、2020年12月に福岡県の筑後工場の新棟が竣工したほか、2025年までに600億円の設備投資を予定しています。

パワー半導体の市場規模と将来性

半導体市場は新型コロナウイルスの感染拡大の影響が比較的軽微であり、パワー半導体は今後の市場規模の拡大が期待されている分野です。

アフターコロナも市場規模は拡大傾向

新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、製造業では需要の減少やサプライチェーンの分断から、業績が悪化している企業が目立ちます。

一方、半導体市場ではコロナの影響は限定的です。また、テレワークの普及を受けて、パソコンやスマートフォン、データセンターのサーバー、ゲームなどの需要は高まっています。さらに、省エネ・省電力化の動きが今後も進むことや、自動車関連の需要の高さからも、アフターコロナとなる2021年以降は、再び市場の拡大が見込まれています。

さらに需要が高まるパワー半導体市場の将来性

富士経済グループのプレスリリースによると、パワー半導体の世界市場の規模は、2019年は2兆9,141億円でしたが、2030年は4兆2,652億円に達すると予測しています。

また、現状ではパワー半導体の主力は、シリコンを材料に使ったSi(シリコン)パワー半導体ですが、次世代パワー半導体も注目を集めています。

  • SiC(炭化ケイ素)パワー半導体
  • GaN(窒化ガリウム)パワー半導体
  • Ga203(酸化ガリウム)パワー半導体

このうち、SiCパワー半導体やGaNパワー半導体は、既に市場への本格投入が始まっています。SiCパワー半導体は主に自動車関連に用いられ、国内製造業も力を入れている分野です。GaNパワー半導体はサーバーなど情報通信機器への利用が中心ですが、今後は自動車関連への応用が見込まれています。

まとめ

パワー半導体には高度な技術が必要とされることから、ものづくり大国といわれる日本において、今後の市場規模の拡大が期待される分野です。2020年代半ばに向けて、次世代パワー半導体のSiCパワー半導体市場でのシェアを巡る戦いが既に始まっています。

プロフィール

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監修:細原 敏之(ほそはら としゆき)

高分子材料を利用した自動車電装部品の設計、製造、生産技術(設備設計、レイアウト検討)及び品質保証業務などを歴任し、トヨタ自動車関連のティア1サプライヤーであるデンソー、アイシン精機及び三菱電機株などを主要顧客とした業務の責任者を担当。その後、タイ・バンコックでの工場建設の代表取締役、発電所などの金属ガスケットやシール材などの開発・マーケティング担当を経て独立。工場の品質管理、生産管理及び労務管理の業務や、ISO審査員及び経営コンサルティング業務を開始し、現在に至る。