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業界トレンド - ものづくり

2020年版グローバルニッチトップ企業100選|7年ぶり発表の背景と人材・株式市場への影響

2020年版グローバルニッチトップ企業100選|7年ぶり発表の背景と人材・株式市場への影響

2020年、経済産業省は7年ぶりに、「グローバルニッチトップ企業100選」を選定しました。米中関係の悪化や新型コロナウイルス感染拡大の影響で世界経済の不確実性が高まる昨今の情勢の中、グローバル市場のニッチ分野で重要な部品や素材のシェアを獲得している企業は、今後の成長が見込まれる優良企業に位置づけられます。

グローバルニッチトップ企業とは何か、また、経済産業省から選出されることによる人材市場や株式市場における好影響について解説していきます。

経産省発表「2020年版グローバルニッチトップ企業100選」

経済産業省の選定するグローバルニッチトップ企業とは、グローバル市場で「隙間産業」と呼ばれるニッチ分野で高い競争力を持ち、サプライチェーンにおいて重要性が高まっている部品や素材に関する事業を有する企業です。「2020年版グローバルニッチトップ企業100選」では、全113社が選定されています。

このグローバルニッチトップ企業の選定は、市場規模は小さいながらも世界的なシェアが高く、存在感を発揮している企業に対して、経営努力を称えて世の中に広く知らせることを目的としています。

参考:経済産業省「2020年版グローバルニッチトップ企業100選について」

発表は2013年以来7年ぶり

グローバルニッチトップ企業の選定は、2013年以来7年ぶりとなりました。7年ぶりに選出が行われた背景にあるのは、日本を取り巻く事業環境の変化です。

昨今では、インターネットを介した取引によるデジタル経済が急速に進化するとともに、世界の政治情勢は目まぐるしく変化し、経済の不確実性が高まっています。また、日本国内では少子高齢化が進んだことで社会構造が大きく変化しています。

そのような環境変化の中、外的要因に影響されずに収益を確保していくためには、独自のビジネスモデルや技術力によって他社との差別化を図り市場の寡占度を高めることで、オンリーワンな経営体制を構築することが重要となっています。

ニッチトップ戦略とは

規模の大きな既存市場では、大企業にシェアを奪われることを常に警戒する必要があります。また、類似商品を扱う企業が多いと価格競争が起こりやすいため、収益率が低くなってしまいがちです。

そこでニッチトップ戦略とは、自社の強みを活かせる市場を選定して、自社商品の投入によって細分化し、他社との違いを打ち出すことで差別化を図り、シェア1位を獲得する戦略をいいます。ニッチトップ戦略をとって市場での寡占度を高めることで価格決定権を持つことができれば、競争に巻き込まれにくくなり収益を確保しやすい企業体質になります。

グローバルニッチトップ企業の定義

「グローバルニッチトップ企業100選」の選定にあたっては公募が行われ、企業規模ごとに選定要件が設けられました。

  • 大企業(売上高1000億円超)
    世界市場の規模が100億円~1000億円程度で、おおよそ20%以上の世界シェアを持つ企業
  • 中堅企業(大企業のうち売上高1000億円以下)/中小企業者
    10%以上のシェアを持つ企業

グローバルニッチトップ企業の選定のポイント

公募があった249社の企業から「グローバルニッチトップ企業100選」を選定するうえで、重視されたポイントとなったのは次の4つです。

  • 収益性
    収益性では、「従業員あたり売上⾼」と「営業利益率」が重視されました。従業員あたり売上高は、労働生産性の指標となるもので、通常、同業他社と比較します。
  • 戦略性
    戦略性では、「技術の独⾃性・唯⼀性・展開可能性」と「国内及び海外の納⼊先企業数」、「従業員増加」がポイントとなります。製品のもととなる技術の独自性や唯一性が高ければ、長期にわたって高いシェアを獲得できることが期待できるほか、展開可能性が高いと新たな需要も取り込めます。
  • 競争優位性
    競争優位性の面で選定のポイントとなるのは、「サプライチェーン上の重要性」と「世界市場シェアとその将来予測」、「市場規模とその将来予測」です。サプライチェーン上で代替が効きにくい製品であり、今後も需要が見込まれれば、安定した収益を確保し続けることができます。
  • 国際性
    国際性では、「海外売上⾼⽐率」と「販売国数、海外との取引実績」がポイントとなります。少子高齢化によって国内市場の縮小が見込まれていることからも、将来にわたって収益を維持・拡大していくためには、海外需要を取り込むことが重要な戦略となります。

選出された企業と市場における好影響

グローバルニッチトップ企業は、グローバル市場でのニッチ分野で現状において重要なポジションを担っているだけでなく、将来性の高い有望企業でもあります。「グローバルニッチトップ企業100選」に選出されることで、人材市場や株式企業においても好影響が及ぶことが期待できます。

優良企業113社が選出

「2020年版グローバルニッチトップ企業100選」に選定された113社の平均は、世界シェア43.4%、営業利益率12.7%と、非常に優秀な数値です。

部門別にみていくと、次の結果となっています。

参考:経済産業省「2020年版グローバルニッチトップ企業100選について」

人材市場における好影響

グローバルニッチトップ企業に選出された企業は、世界的に優れた技術を持ちながらも、知名度が低い大企業や中堅企業が少なくありません。そこで、「2020年版グローバルニッチトップ企業100選」に選出されたことで、知名度の向上や同業他社との差別化が図れることから、人材市場において好影響をもたらします。

経済産業省が取りまとめたデータによると、選出された113社が提供する製品やサービスの5~10年後に予想される市場規模は、平均で2.21倍の成長率が見込まれています。少子高齢化が進み国内市場の縮小が見込まれる中で一定以上の世界シェアを獲得し、今後の成長も見込まれていることは、人材市場においても大きな強みとなるものです。

また、2020年に選定された企業の中で、地方の中堅・中小企業で2020年度の新卒採用を継続する企業は、経済産業省から地域の魅力ある「新卒採用継続企業」としても公表されています。

株式市場における好影響

「グローバルニッチトップ企業100選」に選出された企業のうち、上場企業であれば株式市場においてもポジティブな影響が見込まれます。グローバルニッチトップ企業に選定されることで、経済産業省からいわば優良企業としてのお墨付きをもらったことになるためです。

また、「グローバルニッチ関連銘柄」といったテーマ性のある銘柄は注目を集めやすいことからも、株価に好影響を与える傾向が見られます。

まとめ

グローバルニッチ戦略は、世界経済の不確実性が高まり、少子高齢化が進む昨今の情勢の中で、安定した収益を確保していくために有効な戦略のひとつです。モノづくり大国である日本の製造企業は、その高い技術力を活かすべき分野を適切に見極めることで、国内市場が縮小していく中でも収益を確保できる体制の構築につながります。

また「グローバルニッチトップ企業100選」に選出された企業はその事業を継続していくために、常に品質の維持・向上を可能にする仕組みづくりと、その仕組みを支える人材を活用する経営を模索し続けることが重要になるでしょう。

プロフィール

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監修:細原 敏之(ほそはら としゆき)

高分子材料を利用した自動車電装部品の設計、製造、生産技術(設備設計、レイアウト検討)及び品質保証業務などを歴任し、トヨタ自動車関連のティア1サプライヤーであるデンソー、アイシン精機及び三菱電機株などを主要顧客とした業務の責任者を担当。その後、タイ・バンコックでの工場建設の代表取締役、発電所などの金属ガスケットやシール材などの開発・マーケティング担当を経て独立。工場の品質管理、生産管理及び労務管理の業務や、ISO審査員及び経営コンサルティング業務を開始し、現在に至る。