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製造請負とは?そのメリットと、業者選びのポイント

2020/09/14

一つひとつの製品を作り上げていく製造業のラインには、実にさまざまな工程があります。それらすべてに自社の教育を施した社員を充てるべきかといえば、そうとは限りません。
既存の製造ラインを生かしつつ、製造工程の一部またはすべてを他社に委託することを「製造請負」といいます。こちらでは製造請負を利用することでどのようなメリットがあるのか、よりよい業者を選ぶにはどんな点に気を付けるべきか、順を追ってご紹介していきます。

製造請負とは?

製造請負とは、工場内の生産工程の一部や特定のライン、あるいは工場全体、検品・検査工程、物流など、特定の業務を他の業者に委託することです。組み立て作業だけの委託もできますし、業者によっては一定の技術を備えた委託スタッフを用意しているため、高度な設備オペレーションを含めて委託もできます。日研トータルソーシングには技術と経験を兼ね備えたエンジニアが多数在籍しており、あらゆるご要望にお応えできる体制を整えています。

製造請負を利用すれば、人材の確保やそれに伴う教育、労働安全衛生管理、労務管理を、QCD(品質、コスト、納期)管理も含めて委託先に一任できます。

生産工程の中には、決まった業務をこなすだけでよい比較的単純な工程もあるのではないでしょうか。それらをアウトソーシングすることで、開発などの高付加価値業務、新規業務といった戦略事業へ自社の人材を割くことができるようになります。それにより、市場の変化などに柔軟に対応できる体制を作れます。

製造請負のメリット

製造請負を利用することで得られるメリットはさまざまですが、主に次の4つに分けられます。

コア業務の強化

製造請負を利用する上で、この点が最も重要なメリットといえるでしょう。

自社内でこなしている業務の中でも比較的重要度が低い項目をアウトソースすれば、余分なコストや管理負担を減らせます。それにより、新規事業や新製品の開発といった基幹業務に自社内の優れた人材やコストを集中させることが可能になります。

生産変動へのフレキシブルな対応

製造請負を利用すれば、メーカーからの生産変動要請や市場の需要変動への対応も容易になります。増産の必要がある時期だけ業務を委託し、生産量が落ち着く時期には利用しないという選択ができるためです。

業務の拡大時期や短期的な増産への対応をすべて自社内でこなそうとすると、直接雇用する社員の採用を増やさなければなりません。人員を増やさなければ無理な残業が増え、スタッフに過度な負荷がかかる原因となることもあります。

製造請負なら労務管理や雇用調整にかかわる多様な業務も一括してアウトソースできるので、業者とのやり取りだけでよく、採用計画に頭を悩ませる時間が減らせます。

ローコストオペレーションの実現

製造工程の一部を一括してアウトソースすれば、自社内で働くスタッフの正社員比率を抑制できます。

コア業務をこなす正社員の賃金は固定費ですが、請負対象部門のコストは出来高対価として委託することで、変動費と考えることができます。生産量によってある程度フレキシブルに調整が可能なので、固定費を減らすことができ、ローコストオペレーションが実現します。

コンプライアンスへの対応

正社員比率を抑制する方法として人材派遣の活用もありますが、その際に課題となるのが活用期限です。労働者派遣法の定めによると、同じ事業所で派遣労働者が3年を超えて働くことは原則としてできません。

しかし、製造請負ならこの規定の対象とならないので、法令を遵守しつつ、長期的な外部人材の活用が可能です。

失敗しない製造請負先の選び方

製造請負の委託先としてさまざまな業者が考えられますが、委託先はコストだけで選んではいけません。失敗を避けたいなら、「請負立ち上げのハンドリング」によって委託先を選びましょう。

実際に製造請負の現場を立ち上げる際は、製造工程のオペレーションや製品のクオリティ管理、単価の策定に加え、受発注の流れや各種帳票類の整備といった準備が必要になります。それぞれで異なる現場や製品に即した請負導入計画を策定し、請負工程の稼働後は定期ミーティングを通じて現状の課題を共有したり、今後に起こり得る問題を抽出してそれらを解決するための仕組みづくりを提案したりといった、能動的な対応ができることが求められます。

それらを含む立ち上げフローをしっかりと提示してくれる委託先がお勧めです。

具体的な製造請負の契約

委託先の業者を決定すると、その業者との間に「製造請負契約」を締結することになります。製品の製造プロセスを他の事業者に委託する際に交わす契約で、請負契約の一種です。製品の製造・完成を目的とした契約なので、製造の作業そのものを目的とする「業務委託」にはあたりません。契約書のタイトルを「製造業務委託契約」とすると、請負契約ではないという誤解を招くので注意しましょう。

製造請負契約には、原則として法律上の規制がありません。そのため、実は契約書を作成しなくても法的には問題ありません。

しかし、このうち「下請法」の対象となる契約では、契約書の作成が必要です。製造委託の場合、「親事業者の資本金が3億1円以上、下請事業者の資本金が3億円以下または個人事業主」「親事業者の資本金が1千万1円以上、下請事業者の資本金が1千万円以下または個人事業主」という2パターンのどちらかに当てはまると、下請法の対象です。

ただし、それ以外のケースでも製造請負契約では委託内容が複雑になるので、「言った言わない」といったトラブルが起こりがちです。それを防ぐために原則として、製造請負契約書を作成しておくことをお勧めします。

具体的な契約書の内容

当然ですが、製造請負契約書には報酬額や支払期日、支払方法といった、請負契約に伴う基本的な条項を盛り込みます。その際、検品で不良が見つかった場合の責任の所在や、対処方法も明らかにしておきましょう。

それに加え、仕様書や図面などにより製造対象となる製品の規格、品質、性能、形状、サイズなどを詳細に定めなければなりません。これらを定める際には試作を行い、製造工程や完成品の規格などについて認識のずれがないよう共有しておきます。製造請負の場合はその他にも、原料・資材の調達、所有権・危険負担の移転時期、製造物責任などについて定めておくことが重要です。

また、製造請負の委託先を検討する際はどうしても、事業構想などの情報を相手企業に伝えることになります。情報漏洩や情報を不正使用されるリスクを防ぐため、できれば契約交渉の前段階で秘密保持契約書を交わしておきましょう。

製造請負を利用する上での注意点

製造請負を利用する際、注意しなければならないのが「請負工程内の作業者への直接指示」です。

工程内の作業者に自社スタッフが直接指示を出すと、実質的には労働者派遣にあたるのに請負契約を締結する「偽装請負」と認定されてしまいます。作業者に指示したい場合は、必ず当該工程の委託先の管理責任者を通しましょう。

また、請負工程は受注側企業のスタッフが独立して行う必要があり、自社スタッフが直接作業を行うことはできません。

「直接指示を出したい」「作業者に指導をしたい」という場合は、人材派遣サービスの利用を検討しましょう。人材派遣スタッフなら、自社スタッフと同じ製造ラインで作業することも可能です。

まとめ:コア業務に注力したい企業は検討の余地あり

製造請負を利用することで、自社のスタッフやコストを新商品の開発・設計やメイン工程といったいわゆる「コア業務」に集中ができるようになります。自社スタッフを最低限にできれば、労務管理業務などの事務作業のスリム化にもつながります。

「コア業務に、より力を注ぎ、業績を大きく伸ばすきっかけにしたい」。そう考える企業では、製造請負の導入を検討する価値があるかもしれません。

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