レドックスフロー電池とは?他の電池との違いや仕組み、今後の需要

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昨今は脱炭素社会に向けた取り組みが進み、多くの企業が大型蓄電池や再生可能エネルギーなどの研究開発や普及に取り組んでいます。さまざまな種類の研究開発が行われているなかで、大規模な電力貯蔵を支える技術として注目を集めているのが「レドックスフロー電池」です。

レドックスフロー電池は、電力供給が不安定な再生可能エネルギーの活用を支える新しい蓄電池であり、長寿命かつ安全性の高さが評価されています。

本記事では、レドックスフロー電池の特徴や仕組みをわかりやすく解説します。ほかの電池との違いや今後の需要についても触れるため、導入を検討したい方はぜひ参考にしてください。

この記事でわかること

  1. レドックスフロー電池の仕組みと特徴
    レドックスフロー電池の基本構造や酸化還元反応を利用した充放電の仕組み、リチウムイオン電池との違いを解説。
  2. レドックスフロー電池のメリット
    長寿命・高い安全性・環境負荷の低さといった強みを紹介。
  3. 今後の需要と導入の課題
    再生可能エネルギーの普及に伴い、大規模蓄電システムとしての重要性が高まっている一方で、初期コストの高さや技術的課題があることを解説。

二次電池とは?種類ごとの特徴やメリット・デメリット、用途

二次電池とは、充電・放電を繰り返し行う充電式電池のことです。ノートパソコンやスマートフォンをはじめ、電気自動車、船舶、そして航空機など、幅広い分野において活用されています。

レドックスフロー電池とは?

レドックスフロー電池とは、電解液を循環させることで充放電を行う二次電池の一種です。

二次電池 とは、乾電池のような使い捨ての一次電池とは異なり、充電を行うことで繰り返し使用できる電池を指します。レドックスフロー電池をはじめ、リチウムイオン電池や鉛蓄電池なども二次電池に分類されます。

「レドックスフロー」とは、英語の「Reduction(還元)」と「Oxidation(酸化)」を組み合わせた「Redox」という造語と、外部タンクに貯蔵した電解液をポンプで循環させることを意味する「Flow(流れる)」を組み合わせた言葉です。

主に、バナジウムやほかの金属イオンの酸化還元反応を利用し、貯蔵液体に電気を貯める方式を採用しています。

酸化とは、化学反応において物質が酸素と反応し、新しい物質が作られる現象のことです。一方の還元は、物質が酸素を受け取って新しい物質を作る現象を指します。主にバナジウムイオンやほかの金属イオンといった酸化還元反応を担うイオンを含んだ溶液が循環することで、電気の放充電を行います。

レドックスフロー電池は従来の二次電池とは異なり、電解液を個別のタンクに貯蔵し、必要に応じて循環させるため、大規模なエネルギー貯蔵システムとして適しているのが特徴です。

レドックスフロー電池の仕組み

レドックスフロー電池は、1974年に米国航空宇宙局で発案されました。

その仕組みは、液体還流型のセルを積層した「セルスタック」や電解液、電解液を貯蔵する2つのタンク、電解液を循環させるポンプや配管といったシンプルな構造で作られている点が特徴です。

電解液には硫酸バナジウム水溶液が用いられており、セルにあるイオン交換膜がイオン価数の異なる2種類の電解液を隔てる役割を果たしています。

正極と負極はそれぞれ異なる電解液で満たされており、ポンプで循環する電解液が酸化還元反応を起こします。これによって電気エネルギーが生まれ、充電・放電を行うことができるのです。

電解液の量を増やせば、エネルギー容量を拡張できるため、用途に応じて柔軟に設計できるのも、レドックスフロー電池の大きなメリットといえるでしょう。

レドックスフロー電池とその他の大容量の蓄電池の違い

レドックスフロー電池とそのほかの二次電池にはどのような違いがあるのでしょうか。以下の表に違いをまとめました。

特 徴
レドックスフロー電池
リチウムイオン電池
ナトリウム硫黄(NAS)電池
構造
負極と正極はバナジウムイオン電解液に接しており、イオンの酸化還元反応を利用して充電・放電を行う

電解液とタンク、ポンプで構成されている
負極に黒鉛、正極にリチウムをあらかじめ含ませた金属化合物を使用している

小型・軽量のセルで構成されている
負極にナトリウム、正極に硫黄、電解液にはベータアルミナセラミックスを使用している
エネルギー密度
低い

(リチウムイオン電池の1/5程度)
高い
高い

(鉛蓄電池の約3倍)
設計寿命
20年以上の長寿命
10年程度
15年程度
安全性
高い

(発火リスクが低い)
懸念点あり

(発火や発煙のリスクあり)
懸念点あり

(ナトリウムと硫黄を使用するので危険物として扱われている)
初期コスト
高い
比較的低い
安い
用途
・大規模エネルギー貯蔵システム
・再生可能エネルギーの貯蔵
・電子機器
・家庭用蓄電池
・EV
・住宅用の太陽光発電・蓄電システム
・再生可能エネルギーの安定供給
・電力使用量の多い時間帯のピークカット
・非常用電源の貯蔵
放充電効率
75~80%
90%以上
75~85%
環境への影響
低い

(材料が比較的無害)
廃棄方法に注意する必要あり

(コバルトやニッケル、マンガンなど、土壌や水を汚染する物質が含まれている)
高温運転による影響あり

レドックスフロー電池は、長寿命で安全性が高く、大規模なエネルギー貯蔵に適している点が大きなメリットです。その反面、エネルギー密度が低く、初期投資が高いというデメリットがあります。

リチウムイオン電池は、高いエネルギー密度と充放電効率を誇る一方で、過熱や発火のリスクの高さやサイクル寿命の短さが大きなデメリットです。

高エネルギー密度かつ高効率を誇るナトリウム硫黄(NAS)電池は、300℃程度の高温運転が必要となり、エネルギーコストが高く、環境への悪影響が懸念されています。

レドックスフロー電池に注目が集まる理由

レドックスフロー電池は、リチウムイオン電池や電解質を固体で構成した「全固体電池 」の台頭によって一時期下火となっていましたが、再生エネルギーが台頭したことで、再び注目されるようになりました。

脚光を浴びるようになった理由として、次のような理由が挙げられます。

  • 余剰電力を効率的に蓄え、必要なときに安定供給できる
  • 発火リスクが低いため、都市部や大規模施設でも安全に利用できる
  • 長期間使用しても劣化するリスクが低く、メンテナンスコストを抑えられる
  • 環境への影響が少ないため、持続可能な社会づくりに貢献する

太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーは、天候や時間帯によって発電量が大きく左右される弱点があります。この課題を克服するには、エネルギーの発電量と供給量の変動幅を調整する仕組みづくりと信頼性の高い蓄電システムの導入が必要です。

発電量と供給量の変動幅を低減する対策として、安全性が高く、大容量エネルギーを効率良く蓄えられるレドックスフロー電池の活用が期待されています。初期コストはかかるものの、導入後は低コストで運用可能できる点が注目されている大きな理由といえるでしょう。

レドックスフロー電池の今後の需要

今後、再生可能エネルギーのさらなる普及とともに、レドックスフロー電池の需要は着実に増加していくと予測されます。

矢野経済研究所は、2024年5月に次世代電池の世界市場に関する調査結果を発表しました。この調査結果によると、2023年の市場規模は、メーカー出荷額ベースで1兆2,333億円であり、本格的な実用化が期待される2035年には、2023年比で約6倍の7兆2,763億円まで成長すると予測されています。

このように再生可能エネルギーのさらなる普及が見込まれるなかでも、レドックスフロー電池は特に重要な役割を果たすとされ、2035年のレドックスフロー電池の市場規模は4兆4,755億円になるとの予想です。

大規模エネルギー貯蔵や電力網の安定化の観点からも、生産体制の強化や専門人材の確保・育成が求められるため、関連業界の成長も大いに期待されています。

関連記事:全固体電池とは|EV車への実用化はいつか?メーカーの開発状況と課題

レドックスフロー電池の導入に向けて専門人材の登用を

レドックスフロー電池は、高い安全性を誇り、20年以上という長期間にわたって 使用できる次世代の二次電池です。環境負荷が低く、大規模エネルギー貯蔵に適していることから、再生可能エネルギーの蓄電や地域電力網の安定化などに向けて、今後さらに需要が高まると予想されています。

レドックスフロー電池の導入を検討するにあたっては、設計・開発はもちろん、運用や保守など、さまざまな分野における専門知識を持つ人材を確保しなければなりません。

レドックスフロー電池に詳しい人材の確保を検討している企業の担当者様は、日研トータルソーシングにぜひご相談ください。

日研トータルソーシングでは、レドックスフロー電池を含む二次電池や再生可能エネルギー関連の専門人材を紹介しています。人材派遣を通じて、製造業における業務効率化をサポートしており、製品開発や製造現場で活躍する人材育成をはじめ、製造現場の課題解決に向けた具体的な相談にも随時対応しております。新たなビジネスチャンスを広げるためにも、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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